品質を下げる新技術

MP3 プレイヤーが流行ってますね。最近売れてる iPod は MP3 ではない(*1)ですが。iPod shuffleは512MBフラッシュメモリに120 曲で1万円。iPod nanoなら4GB、1000曲入って3万円弱。そりゃ流行るわけです。圧縮なしでは曲数が1/10になってしまい、とても買う気になりません。圧縮万歳。

ところで学生さんたち、いいですか? MP3の音で。
圧縮することで音は劣化します。当然です。もともとすごくキレイにレコーディングされている音源(*2)から、全く劣化させずに1/10にできるはずもありません(*3)。それでいいですか?

コンピュータがもっと非力だった20年ほど前は、今後処理能力があがって、デジタルメディアは高品質になって、もっときれいな映像やきれいな音が僕らの目の前にやってくると思いながら、日々技術の進歩を眺めていたように思います。つまり品質の向上、というのが重要なキーワードだったわけです。

しかしMP3やAACは「品質を下げてしまう」技術です。どうです?こういうのに自分の耳が慣らされてしまうかもしれない、という恐怖感があったりしませんか。

20年もCDという規格が生き続け、今後も使われそうなのを怖いと思う。テレビの走査線512本という50年ほども使われている規格を困ったものだなと思う。

そういう感覚、重要だと思うわけです。

VHS、DVD、MP3など、品質をむしろ下げてしまう技術に慣らされてはいけません。キレイな映像を見るとか。良い音を聞くのも意味があると思います。感覚に訴えるものの品質を下げてしまう技術には敏感であった方が良いかなあと思います。

このあいだ学生さんに部屋でチェロを弾いて貰ったらすごく良い音でした。楽器弾ける人っていいなあ。

脚注
1. AACフォーマットを主に使っています。MP3も使えますけどね。
2. CDは一枚で650MBほどです。20年以上前の規格としてはすごく大きな数字です。すごい。
3. MP3の圧縮技術、ざっと斜め読みでも何を犠牲にして圧縮するのか何となく判って面白いと思います。

'2005.11 Yasu. (職場のwebによもやまばなしとして寄稿)


エッセイのページに戻る