NZの些細な事

1997年の10月末、我々二人はニュージーランドに行った。ここでは僕が気づいた非常に些細な事をとりとめなく書く。

まあ見るもの全てが楽しいおのぼりさんな私たちであるから、鳥を見るのも楽しい。
空港で一番最初に見た鳥はスズメなのだが、このスズメがでかい。と言うか、太っている。丸々と太っている。今回の旅行全体を通じてみたスズメはどれも大きめだが、どうやらオークランド空港のスズメは旅客の食べ残しをあさっているようで、丸々としていた。
空港を出て見た黒い鳥もきれいだったが、鳥を間近に見たのはせいぜいこのくらい。後は姿を見せず、その代わりひたすら鳴く。良い声なのだが、とにかくひっきりなしに鳴いている。
涼しい春の風と、鳥の声に囲まれた毎日だったわけだ。

どうも人口より圧倒的に羊の数の方が多い国だということは聞いていたが、まったくどこをみても羊がいる。人はそれほど居ないから、確かに人口よりは多かろう。
しかし何日間も見続けていて、ある事に気がついた。つまり彼らはいつ見ても口を草に付けている。ひたすら下を向いてモグモグやっているのだ。食っちゃ寝、ではない。寝ている姿を見たことがない。とにかくいつでも食べている。
そして車で通りがかると皆一斉に顔を上げてこっちを見る。「なんやなんや」という視線で感じ悪いでー、と思ってしまう。遊んでくれるのかと思って近づくと皆逃げる。くそー。
sheep1.jpg こっちを見るか、食べるか二つに一つの羊くん達)
対して牛は午前中食べる。昼寝る。羊君、君は食べたエネルギーはどこに行っているんだ?

キャッシュレジスター

コンピュータ屋の僕としては、やっぱりキャッシュレジスターなどは見逃せない。あちこち見て面白かったのは、レジスターが殆どコンピュータそのものだったことだ。フルキーボードが付いているものが多い。ディスプレイは普通のディスプレイ的なイメージを表示する。雰囲気的には一昔前のDOSアプリケーションによるキャラクタ・ウィンドウ的なインタフェイス持ったアプリケーションだ。恐らく中身も全くその通りのものなのだろう。良くハングアップしないなと思ったけれど、どうも無いみたいだ。リブートするのを見たかったが、その機会には恵まれなかった。残念。
メーカーとしてはIBMなどが多かった。Aptivaと同じ白い筐体にブルーの小物というデザインで、全くコンピュータの周辺機器的な雰囲気がする。良いねえ。どうして国内でこういう風にならないんだろうか。

コイン

オークランド空港の両替所で日本円をニュージーランド・ドルに交換したときに、何故だかニュージーランド以外のコインが交じっていた。勿論僕らは最初判りっこないので、そのまま出たのだが、カズに会った後でコインの種類を眺めていた時に見たことのない通貨単位のコインを発見して聞いてみた。するとカズも初めてだったらしく、「おおこりゃ珍しい」と貰われてしまった。
カズ曰くはたまーにオーストラリアのお金も紛れ込んでいるらしいので、それかなあと思うのだが、しかし国際空港の両替所でどうして間違うかなあ。。。治安の悪い国では、旅行客には釣りを誤魔化すようなことがありがちとも聞くが、どうもこの国はそういう風情ではないし、未だに謎である。
ところで国際空港以外には両替所はない。田舎町ではおそらくどうしようもない。オークランドなどの都市部では銀行で日本円を扱ってくれるらしい。クレジットカードを使って現金を引き出せるキャッシュディスペンサーが街角に普通にあるのだが、これとて都市部でしか見たことがない。まあ普通観光客はそういうところにしか行かないから大丈夫か。。

家電製品

最初に泊まったワンガヌイという田舎町で、KENWOODのトースターを発見。音響メーカーとして国内では有名だと思うだのが、トースターを海外で売っているとは知らなかった。最後に泊まったホテルのテレビは AKAI 製で、これも国内ではオーディオでしか見かけない。この種のことは結構あるようで、他にSHARPの家電製品もあちこちで見た。ただSONYはやっぱり音響製品などでしか見ていない。海外でのニッポンセイヒンというのは、僕らが想像しているより相当に厚い層で進出しているということなのだろう。

行き帰りの飛行機のエンジンのエンブレムが面白い。 GENERAL ELECTRIC、つまり GE なのだ。いまどきは GE のエンブレムを家庭で見ることは少ないが、僕が独身の頃に使っていたエアコンが GE 製のものだ。知人の旦那さんが使っていたとかで、僕がもらった時点で既に25年を経過した逸品だ。当時アメリカの家電製品はたくさん輸入された。多くは先進国への羨望とともに。それが飛行機のエンジンに付いているというのが楽しい。まあGEは米国の巨大企業で、戦闘機のエンジンも含めて、航空機産業でのシェアは大きい。ちょっと当たり前すぎて面白くないか。
ge.jpg

シダ

ニュージーランドの北島の最も北の端辺りは、気候的には亜熱帯に属するそうで、そのせいか全島にわたって原生の植物はシダ系のものだそうだ。今回まわった庭園のあちこちにもシダが多く生えていたし、田舎町のあちこちに突然シダ系の植物の大木が群生していたりする。
そう、でかいのだ。シュロなどは原始的な植物でも相当に大きくなる事を良く示しているが、あの調子でシダが大きくなると思ってくれたら良い。大きなものは楽に3メートルある。これがシダかい!でもどう見てもシダ。松が大きいのは判る。松ぼっくりの大きいのも良い。杉だってでかい。でも何故にシダまででかい?
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ほんの200年前、イギリス人が開拓する前は全島この原生植物のジャングルだったのだろうか。そりゃまたすげえや。
南島の一部にはこの自然がまだまだ残っているところがあるらしく、ツアーの中に苔とシダの森を歩くという趣向のものがあるようだ。僕らが今回まわったところにそういう所はなかったから、そういう意味では自然も失われていっていると言うことなのだろう。

マオリ人

マオリ人はニュージーランドの先住民族で、あちこちの地名の「マナカウ」などという響きは彼らの言語から来ているとのこと。たまに顔とかに刺青をしている人に出会うが、僕は刺青には妙な威圧感を感じてしまうのでちょっと恐い。白人の人達はそうでもないのかな?
デリケートな話題なので余り書くべきではないかもしれないけれど、たまたま僕が見た範囲では、スーパーのレジとか食堂のメイドさんとかホテルの部屋清掃の人とか、単純労働の傾向にある職種にマオリ人なのかポリネシア人なのか、東洋人ではない有色人種の人が多かったように思う。全体を見ていないし個人的な体験に基づく、根拠の無い私見なのだけれど、そんな気がした。

WASHOUT?

山ぞいの道路で時々こんな標識を見た。
washout.jpg
さて一体何に注意したらいいのだろうか?わからないまま行き過ぎてしまうのであった。

羊の毛皮

ムートンというのだろうか、羊一頭分の毛皮を買って帰った。はじめから知人らにお土産は羊一頭などと何も考えずに言っていたので、契約不履行にならずに丁度いいやと思ったのも確かだが、何よりその手触りの誘惑に勝てなかった。
店頭においてあるのは大抵二種類で、直毛っぽいのと、ぐにぐにした毛の物とだ。手触りは直毛がいいので、空港でそれを買おうとしたら、店員はこちらの圧縮パックでどうだと言う。確かに小さい。店員曰くは「全くこれと同じ物」だそうだが、ほんまかいなと思って念押しを繰り返しても自信満々に返事する。ではとそちらを買ったのだが、どうも未だに直毛にはならない。特に折り畳まれていた真ん中の方。
やっぱりぐにぐにの方を掴まされたのではないかと疑っている。

しかしこれから冬に向けて、この羊君は我が家のアイドルになりつつある。二人用座布団のような使われかたをしている。

時間持ってますか?

ニュージーランドの英語というのは元になっているイギリス英語から相当になまっている。例としては、todayをツゥデェィとは言わず、ツゥダァィと言う。
カズ曰くは、表現もいろいろ独特なのだそうだ。例えば今の時間を尋ねるときに、 Have you time? と聞くのだそうだ。普通に考えると「今、暇?」という感じだが、これで「今何時?」なのだ。オークランドで帰りのバスを待っている間、若いニーちゃんに「Have you got a time?」てなことを言われて一瞬「は?」と思ったが、カズのこの話を思い出して、ああ時間ね、と腕時計を見せてあげた。予習してなかったら「?」だったなあ。

ハリネズミ

道路を走っているといろんな動物に出会う。羊や牛はともかく、鹿、馬、ヤギ、七面鳥。家畜以外にもキジにも会った。しかしそれ以外に哺乳類が良く道路で車に轢かれて死んでいた。ウサギが一番多いが、それ以外にポッサムというウサギ大の灰色の動物が多い。ネイティブな生物かどうかは判らなかったが、多いらしい。遂に一度も生きているのには会わなかったが。夜行性かも。
そしてハリネズミ。ちょっと驚いたことにこれも轢かれていた。あまりに珍しかったので、ちょっと轢かれたのを見たが、単にはねられただけみたいで、つぶされてはいない。ハリは意外に固く、こりゃ確かにハリネズミだぜと感心してしまった。

自動車

何しろ車には日本車が多い。おまけに多分英国の影響だろう、左側通行なので右ハンドルなのだ。ガレージを見ると、ふっと外国にいるような気がしなくなる。
そして古い車が多い。初代の三菱Σ(シグマ)なんぞがいっぱい走っている。これがなかなか楽しい。日本は新しい車に買い替え過ぎると思う。もちろんどの国でも金持ちはどんどん買い替えていると思う。けれど、そうじゃない人は乗り続けるなり、古い中古車を乗り続けるのが良いと思う。そういうやりかたもアリなんだと言う事を、ニュージーランドで痛感する。みんな古い車で元気いっぱい走る。トレーラーを付けている率がすごく高いのだが、それでもガンガン飛ばす。制動距離は果たして何メートルなんだろうか。。

バイク

英語ではモーターサイクルと言わなくちゃ駄目だけど、まあ単車の事。
結構単車は走っているのだけれど、これに傾向がある。田舎町ではそれを通過する高速巡行ツアラー、つまりヨーロピアンモデルなのだ。ワンガヌイに行く途中では CBX550F Integra を見て感激した。(僕は元 CBX400F Integra 乗りなのだ。)
が、都市部ではもっぱらアメリカンタイプが目立つ。ババババとこれがまたうるさい。いまいちだ。四輪車同様、日本製が多い。

飛行機

ついでなので、飛行機。というか、DC-3 のこと。二日めに、道端に古い旅客機の機体そのものを使ったカフェを見つけた。
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空軍の博物館もそうだったが、こう言うのをドカンと使って看板にすると言うのがはやっているんだろうか?なかなか豪快だ。
機体に 747 と書かれているが、もちろんジャンボジェットで無い事くらいは誰でも分かる。ギャグも豪快だ。

フィッシュ&チップス

ニュージーランドはイギリスからの移民の国なので、イギリスの代表的な食べもの、フィッシュ&チップスもある。まあ要するに白身の魚を揚げたものと、短冊状に切ったジャガイモを揚げたものなのだが。
まあどこに行ってもある。さすがと言うべきか。そして量が多い。冗談じゃないほど量が多い。たいてい紙に包んで出てくるが、その紙包みは優にハンドバックサイズだ。これにトマトケチャップをガンガンかけてみんな食べてしまう。日本人にはなかなか壮絶な食べ物だ。
今回はチャンスが無くてフィッシュは食べられなかったが、一度だけチップスを食べた。全くまずいわけじゃなくて、却ってジャガイモフライとしてはおいしい部類に入ると思う。ただ量が問題なのと、食べ物の種類がそれほど多いわけじゃない事がいけない。長期滞在したら繰り返し食べる事になりそうで恐い。
全体としてサンドイッチやベーコン、卵料理はおいしく、決して良く言われる英国的おいしくない料理の国ではないと思うのだけど。これはほんと。カフェは結構お勧めだ。

ホット・スポット

ホテルに置いてあった観光案内の中に、New Zealand Hot Spotsと言うタイトルで綺麗なおねーさんの表紙のものがあり、思わず手に取ってみた。文字どおり各種ホットなサービスについての広告なのだが、なかなか面白い。法律的な事や、市場の事を知らないので、書かれているエスコート、とかマッサージ、などの用語がどのようなコトを差すのか良く分からない。
けれども何が楽しいといって、そのセクシャリティの多様さはすごい。

エスコートにしても、女性、男性ともにある。両方そろえている店も多い。カップルを派遣してくれるところもあるようだ。男性を男性向けに派遣してくれるところもある。国内でもいろいろあるのだろうが、圧倒的に売春、しかも女性を男性が買うケースが多いように思う。特に一般に目に触れる広告ではそうだ。面白いねえ。

インフォメーション・キオスク

オークランド空港の出発ゲートすぐ横に、その名もインターネット・キオスクという街頭ネット端末が置いてあった。時間がなくて試すことが出来なかったが、なかなか楽しそうだ。
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コインを入れると一定時間使えるもののようで、メイルに対応しているとあった。Webブラウズも出来るようだ。マウスの代わりにジョイスティックがあったり、キーボードはちょっと触ったくらいでは入らないうなものになっていたり、どうやら全体に防水が効いているような感じだったりして、なかなか考えられている。置いてあるのもロビーの真中で、良いじゃないか。僕は街頭端末に期待しているので、こういうのが海外の空港にあると言うちょっとしたショックだった。頑張れ日本!