Macintosh が実現したもの

1984年に Macintosh が提示した GUI へのアプローチは何だったか?
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Macintosh は、コンピュータユーザや開発者に対して、問題の見せ方と、解き方を新たに GUI グラフィカルユーザインタフェイスというスコープを通じて捉え直して見せた。GUIを従来の問題解決のアプローチの表面に張り付けたのでは意味が無い。

ここが Sun や Micosoft の GUI との大きな違いなのだ。彼らのシステムは言い換えれば CUI キャラクタユーザインタフェイスの代わりだ。この事を Microsoft 及びその周辺デベロッパーは今でも全く理解していない、もしくは重視していないように思える。窓を開ければいいのではない、アイコンを置けばいいのではない。
GUIを用いると問題はどう映り、どう扱うことが出来るのか、それを常に提示し続けたものが Macintosh なのだ。この事は多くの場合、理解されていない。オブジェクト指向というものがアイディアでありアプローチであることが理解されず、技術としての手法だけが多く断片的に解説されるのに、これは似ている。

(Microsoft の OS/2 version 1.2 あたり(だったか)から付きはじめた、 Presentation Manager は比較的デスクトップ・メタファーの価値を追求していたように思う。しかしアプリケーションにそのアプローチを要求したわけではないところが少し違う。)

だから Macintosh のアプリケーションにはいつも驚かされた。MacPaint、MacDraw、MacWriteもそうだが、HyperCardにも驚いた。また、Sound Editor、Course Builder、Directorなどもそうだ。「新しいものはいつもMacから始まった」と言う人が居るが、これらのアプリケーションを見ていると、確かにそう思う。

(しかしこれは外見上のことで、そのプログラミングシステムは恐ろしいくらいに古典的なものだ。プログラマは非常な努力で、新しいアプローチを現実の姿にしていた。NeXTはこれをオブジェクト指向の力でもって解決しようとした。しかしここではその話は置いておく)

僕はそこにゴールがあるのなら、最初からそこに向かうアプローチが好きだ。そこに人間の知恵の価値があるからだ。だから僕は Macintosh が好きだ。何を詰まらないと感じるかは、まったく御想像の通りだ。



Yutaka Yasuda

1997.12.08