ノー・スキン・オフ・マイ・アス
(1990 カナダ)

監督:ブルース・ラ・ブルース
出演:ブルース・ラ・ブルース、クラウス・フォン・ブルッカー
評価:★★


一人のヘア・デザイナーが、街に佇んでいたスキン・ヘッドの少年を自宅に連れ帰った。そして、ヘア・デザイナーは最近スキン・ヘッドの虜になっていたために、思わず少年を部屋に閉じ込めてしまう…。

ロバート・アルトマンの「雨に濡れた舗道」のリメイクらしいのだが、私は「雨に濡れた舗道」を見ていないので、そういう観点から見る事はできない。あらかじめ断わっておく。

「スーパー8 1/2」「ハスラー・ホワイト」のブルース・ラ・ブルース監督長篇デビュー作品。
この映画でまず目を奪われるのは、その個性的な表現スタイルだろう。
モノクロの8mmで撮影され、16mmにブローアップされた粒子の粗い映像。
不安定なカメラ。
映像とシンクロしないセリフ。
全編に流れるパンク。
ゲイ・ポルノの様なハードなセックス描写。
ただ、表現部分に対する面白さというのは、よほど圧倒的でない限り、すぐに退屈へと変貌してしまう。実際、73分という短い映画なのだが、思わず時計を見てしまった。それに、正直な所、後発の作品を先に見ているため、実験的な映像もちょっと物足りない。

ストーリーに普通の面白さを期待する事も、この映画では少し難しい。
おそらくストーリー性は意図的に解体され、その上、感情移入を許されるキャラクターはブルースの演じるヘア・デザイナーくらいなのだから。
内容的にはゲイとスキン・ヘッドという対立する思想傾向を持った二人のラブ・ストーリー。二人の融合を描く事で、ブルース・ラ・ブルース自身の立脚点を表現しようとしているのだろう。また、スキン・ヘッドの少年にレズビアンである姉を設定する事で、メッセージ性を強化している。
だからと言って、説教臭い映画になるのでは無く、前向きなゲイ・スタンスの提唱を忘れてはいない。
出て来るキャラクターも、相変わらず(こちらの方が古いのだが)微笑ましい可愛らしさに満ちていて、とても嬉しい。
私は、彼の作品に満ちている、これらの明るい世界観や思想のボーダーレス感覚がとても好きだ。しかし今作では、私が集中力を持続するのに、あまり効果を発揮しなかったらしい。

ブルース・ラ・ブルースの作品なら、やはり後発の「スーパー8 1/2」「ハスラー・ホワイト」の方が、表現とストーリーや内容とのバランスが良くて断然面白い。他作品に繋がる表現や設定が見て取れるので、彼の作品が好きなら観ても良いと思う。だが、そうで無ければ、あまり楽しめないだろう。勿論、アンダーグラウンド的な作品が好きで、ブルースの作品を見た事が無ければ話は別だが。


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