Cinema Review

ケイナ

Also Known as:Kaena

監督:クリス・デラポート、パスカール・ピニョン
声:クリスティン・ダンスト、リチャード・ハリス

その星では人間たちが森のなかでなんとか生命をつないでいた。しかしケイナは夢に見た、より豊な地への可能性を探して、行ってはならないと言われている雲の底に降りてみる気になった。

Abstract が書けない。何と説明の難しいファンタジーだろう。ヨーロッパ製のフル CG アニメーションと聞いて「これは!」と思い見に行った次第だ。しかし内容的にはそれほど面白くなかった。ハリウッド製ファンタジーであるディズニーPIXARの筋書きよりはよほど日本人にとって馴染みのある土着臭のするものではあるが、しかしあまり訴えてこない。

ただこれだけは書いておこう。

なんと共同監督のパスカル・ピニョンだが、彼は『Insektors』の人だった。なんと!(僕は『Reboot!』と同時期に日本でテレビ放映されていたこのテレビシリーズ作品を何度か見ている。CGのつくりと内容の両面で僕は『Reboot!』に軍配を上げ、そちらばかり見るようになったのだが。思えばあれは不思議な時期だった。)

おそらくは彼のテイストであろう、虫に人格があり、奇妙なデザインの体をもったものたちが多く出てくる。色もまた独特の茶系、画面構成も全体に暗く、衣装もなんというか南方民族的な気配がする。元々殆ど机の上の PC で家内制手工業で作られたような部分が濃いようで、そういったセンスが強く残っている。10 年程たって、僕はこんなところで『Insektors』と再会したのだ。

今年は『キャシャーン』『アップルシード』『イノセンス』と、アニメーション、実写、3DCGの合体あるいは境界作品をよく見た。『ファインディング・ニモ』と本作のようなフル CG 映画もあった。そしてまた『ハウルの動く城』『スチーム・ボーイ』が待っている。今後を占う、重要な年だと思う。特に緻密な手描きで作るアニメーションを見るのはこれが最後になるかも知れない。

Report: Yutaka Yasuda (2004.06.05)


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