Cinema Review

キリング・ミー・ソフトリー

監督:チェン・カイコー
出演:ヘザー・グラハムジョセフ・ファインズ

ある日、女は交差点で偶然に男と出会う。以来、女は男にのめり込んでいく。そのうちに男の衝動的な部分や、普通でないセックスの嗜好が明らかになるにつれ、女は不安になる。そのうちに私は殺されるのではないか?

ヘザーくん観賞映画である。ヘザーくんしかしそれほど若くないのである。それでもグーなのである。『ロスト・イン・スペース』が僕のヘザーくん初見である。『オースチン・パワーズ』は未見なのである。見るかどうか悩ましいところだ。

キャメロン・ディアスも『MASK』でデビューだったかそう若くなかったように覚えている。今度の『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』にも出るそうで、年齢の分からないハジけ具合いを続けている。ゴールディ・ホーンはどうやら相当な年齢だということが分かっているからまだいいが、メグ・ライアンに至ってはいったい今どのくらいなのか全然分からない。

教訓:これは!と思う女優さんは出たらとりあえず見ておけ。
希望:観賞すべき女優さんは、もっと早くにメジャーデビューして欲しい。

馬鹿ばなしだけになるのも何なのでひとつ。このお話、かなり良い筋書きなのだが、サスペンス調になっている点で惜しい。コペルニクスならぬハリウッド的展開、という奴だろうか。最後は犯人(物語のキーとなる人物)と主人公の一対一対決、というパターンをなぞるため、そこに向かって行きそうなシチュエーションになると「ぴーん」と来てしまうのだ。「ひょっとしてアナタですか!」というわけだ。
そこにある種のカタルシスを感じる人は良いのかも知れないが、僕はそうではない。

手の付けられない残酷さと暴力を抱えている男と、そこにどうしようもなく引きずられていく女の、その底のない落下感覚の不安さに、僕は少なからず興味を引かれたわけだが、「アナタですか!」の瞬間に、急速に足元が見えたように安定して詰まらなくなるのだ。(そういうのをB級テイストというのかもしれないが。)

そういう意味では、B級感覚でありながら、そのまま足元を安定させることなく走り切ってしまうクローネンバーグはやはり好きだ。『クロコダイルの涙』『氷の接吻』を好きなのは、それと似た感覚を僕に与えてくれるからだろう。

それにしても交差点で目が合ったらそれだけでヘザー君がついてくるとは。いいなあ。

Report: Yutaka Yasuda (2003.03.27)


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