Cinema Review

ピンポン

監督:曽利 文彦
作者:松本 大洋 
出演:窪塚 洋介、ARATA、サム・リー、中村 獅童、竹中 直人夏木 マリ、松尾 スズキ、大倉 孝二、大浦 龍宇一、荒川 良々、馬渕 英里何、水谷 妃里三輪 明日美、原田 夏希、山下 真司、石野 真子

いつも菓子ばかり食べているペコ、笑わないスマイル。対照的な性格の二人は子供の頃から一緒に卓球をしていた。高校生になった彼らはインターハイに出る。

脚本は『GO』と同じ宮藤官九郎。メインキャストがそれぞれキャラの立った配列の中、それを食わんばかりに目立つ脇役俳優たち。(竹中直人はとりあえず行き過ぎのような気がするが、、)
とにかく脇役が目立つ日本映画は概して悪くない。『GO』もそうだった。そしてこの作品もやはり良かった。最後、ペコとスマイルが打ち合うそのシーンを、もう終るのか、もっと見たい、まだ終って欲しくない、と思いながら見た。

先日ビデオで『DISTANCE』を見た。が、今回のスマイル(ARATA)が同じ俳優とは気づかなかった。どちらもある程度抑制されたイメージで、しかし何か切れ味を感じさせた。窪塚君はやはり『GO』の印象が強過ぎるのか、今回の PECO 役は少し彼の「生きてる」感じが弱かった。もっと火のような、燃えてイキてる彼が見たい。
他のキャストは本当にうまく活きていた。歌舞伎役者獅童君の恐るべき迫力、セリフの間合い一発で場をさらうキャプテン役の荒川君。何より「やったぜ!」と僕を思わせたのは夏木マリだ。『SF サムライ・フィクション』の彼女も良かった。『鮫肌男と桃尻女』の真行寺君枝も同系統。これらのレビューでこういう女優さんにアクをまき散らして頑張って欲しい、というようなことを書いたが、全くその通り同じことを今でも思う。

役者がほとんど二十歳台、それも後半か?まあ本当に高校生俳優で揃えてこの作品が作れたかと言われるとさすがに当然か。『岸和田少年愚連隊』『バトルロワイヤル』なども実際の役よりは圧倒的に上の年齢のキャスティングだったし、それで成功している。『青い春』は未見だが、主演の松田龍平がほぼ同じ年齢でやっていたはずなので、この点、見比べてみたくなった

それにしても CG を多用した映画だった。打球はほぼすべて合成だったと思う。それ以外にもオープニングのペコが飛び込んだ場面、『マトリックス』みたいにぐるりと回して見せたシーンもほぼ CG だろう。パンフレットを読むと観客を体育館に張り付けるようなこともしていたようだ。(さすが『タイタニック』で同様のことをやっただけのことはある。監督さん。)

それに隠れて忘れてしまいそうになるが、おそらくはかなり大型のクレーンを器用に使ったシーンが幾つもある。これどうやって振り回したんだ?と思うような場面だ。橋から飛び込むシーンに途中でもう一度戻るが、そこでの絵コンテなど見てみたいと思うくらい器用なクレーンじゃないだろうか。スタッフには若い人が多いようだが、こういう凝った作品がこれからはもっとあっていいと思う。

最後にひとつ。撮影がフィルムではなくデジタルビデオだったようで、これが絵を少し平坦にしていたように思う。日本映画の独特と言うか何と言うか、あの照明のもとでの絵が良いとは言わないが、まあデジタルカメラでできることにはまだ限りがあると言うことだろうか。上映にもプロジェクタを使い、カラーキャリブレーションなどの処理をもっとしっかりやれば問題は小さくなるのかも知れないが、とりあえず HD24P 規格の 1920*1080 画素は劇場のスクリーンサイズには粗過ぎるかなあ。ピクセルの切れ目が見えちゃうよ、、、(見えないようにフィルムに焼いたら今度はエッジが甘い絵にしかならないよ、、)

ともあれ、次回作にも期待したい。頑張れ曽利さん。

Report: Yutaka Yasuda (2002.09.12)


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