Cinema Review

スパルタカス

Also Known as:Spartacus

監督:スタンリー・キューブリック
出演:カーク・ダグラス、ローレンス・オリビエ、トニー・カーチス、ジーン・シモンズ

奴隷の男、スパルタカスは戦士として調教された。しかし彼は後に奴隷解放運動を起こし、ローマに対して反体制の内戦を挑む。

キューブリックの映画は実に優れたエンタテイメントだと思う。様々なジャンルにおいて鮮烈なイメージを残す作品を残している。その切れ味の素晴らしいこと。
この部分についてはしかし既に多くの言葉が尽くされていると思う。ただ素晴らしいと言う以外、僕が重ねるものは何もないだろうから、ここでは少し脱線したい。

この作品を見て何より圧倒されるのはその人間のパワーだ。ストーリーでも何でもない、野原に大量に散布された本物の人間たちだ。大量のエキストラを雇って大量にばらまいたとしか言いようのないシーンが何度も展開される。北海道やニュージーランドで大量の羊や牛が見渡す限りの牧草地や山に散らばっているのを見た事があるが、まさにそのような状態で人間が散らばっている。
当時特殊撮影技術は大した事なく、監督もそのためか遠景に人間が米粒のように映るシーンを多用する。野戦の場面などは今後どのような映画でもこれを超える事は出来ないのではないかと思うほどスケールが大きい。圧巻だ。

スター・ウォーズ』の最新作『ファントム・メナス』ではCGを使ったロボット兵士がこれと似たような野戦場面を展開してくれる。しかしその迫力において、両者には天と地ほどの差がある。(個人的には手描きアニメーションである『新造人間キャシャーン』のロボット兵士の方が威圧感を感じる。)
タイタニック』で僕があまり何も感じられなかった理由は、この印象の差と関係があるのかも知れない。生身の人間たちの情熱が伝わってこないのだ。

Report: Yutaka Yasuda (2000.07.28)


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