Cinema Essay

美女鑑賞映画の夕べ

君は美女が好きか?もし好きなら美女映画も好きだろう。今宵は美女鑑賞映画の夕べと行こうじゃないか。

君は美女が好きか?なんだってはっきり言い給え。
いや僕は好きだ、断然好きだ。やはり映画を見るなら美女映画がよろしい。どうせ見るなら美人の方が嬉しいに決まっている。

だから少し美女鑑賞映画を並べてみようと思うのだ。

まず少し古めの映画から引いてみよう。あまりに古くて僕は女優さんの名前を知らないのだが、『恐竜百万年』はどうだろう。恐竜と原始人が戦う奇妙キテレツな映画だが、そこでキャーキャー叫びまわるだけの女優さんが結構グラマーでよろしい。同様に演技も何も無いが『禁断の惑星』も実によろしい。奇妙なロボットと怪しげな科学者が出てくるB級映画だが、ミニスカートの突飛な服を着たおねーさんがチャラチャラするのが面白くて、僕は共演(?)の有名なロボットより余程気に入った。
『アマゾンの半魚人』シリーズに至っては肝心の怪物は超スロー動作で全然恐くないが、ヒロインは結構美人で絵になっている。そこをあと一歩間違うとホラーからコメディに転落コースへご案内だ。
更に内容も何もあったもんじゃないスチャラカB級映画『バーバレラ』があれ程有名なのは、ジェーン・フォンダが脱ぎ脱ぎするからに違いない。僕は余り好きなタイプではないが、いや正に美女鑑賞映画の金字塔だ。

中身がそれなりにまとまっている美女鑑賞映画なら、ファラ・フォーセットの『サンバーン』でどうだろう。僕は中学生の頃にテレビ放映で初めて見たのだが、お色気もあって実に良い。白い水着のようなダイビングスーツを着て、大きく胸を開けて立つポスターが有名になった。後に彼女は『キャノンボール』でも、殆ど同じ構図で立っていたりする。
同様にナスターシャ・キンスキーの映画はどうだろう。『テス』が鑑賞向けには最適かも知れないと思うが、しかし個人的には『キャット・ピープル』のしなやかな肢体が忘れられない。あれなら食われても良いぞと思ってしまうじゃないですか。『レッスンC』(原題 Passion Flower Hotel だったっけ)などの若い頃も好きだけど、、

さてキンスキーを出したらイザベル・アジャーニを出さない訳にはいかない。『殺意の夏』もピラピラした服を着てくれて悪くはないが、やはりここは『サブウェイ』がイチ押し。メトロの階段に夜会服で登場するアジャーニのかっこいいこと!しかし彼女はどうも妙な役が多く、鑑賞映画が少なめな気がする。妙という意味では『ポゼッション』こそは彼女で無ければ成り立たない映画かも知れない。ただ耳から牛乳を流す変なヒトにしか見えないじゃないか。

唐突だが僕はジョイ・ウォンも好きだ。役を選ばないとか演技が出来ないとか、たくさん出ている割にどれ観ても同じとか、色々文句はあるかも知れないが、良いじゃないですかそんな事はどうだって。美人なんだから。
バックに青い光を背負って、ばびゅーと吹く風に黒い髪をなびかせて登場するんだから『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』は、もう犯罪の域だ。長身、綺麗な脚と黒く長い髪、おまけに吊り気味の目と、そこまで揃えて頂いたら、これはファンになるしか無いじゃないか。こんな人に英語の教材を勧められたら0.5secで買ってしまいます。
こんな事を書いておいて何だが、実は僕は余り彼女の映画を見ていない。それでも『画中仙』などワイヤーに吊られる幽霊役が多いと思う。普通のジョイ・ウォンを堪能するには『大丈夫日記』でどうだ。現在彼女は女優業をしばしお休みだそうで、ちょっと残念ではある。

ああもうこうなったらエマニュエル・ベアールを捨て置ける筈が無い。ああっ、ベアール様っ。『泉のマノン』で崖を駆け下りる姿がカッコイイのです。
しかしベアール様鑑賞には断然『エレベーターを降りて左』なのだ。やたらと下着姿でしゅるしゅる歩き回るのがまた綺麗。他に内容はイマイチだったが、赤いドレスでくるくる踊ってくれる『フランスの女』もぜひご賞味あれ。

少し冷静になって正統派美人鑑賞映画となると、やはりグレース・ケリーがいい。ヒッチコックが好んだ女優さんは皆、人形のように整った顔立ちの美人ばかりだが、中でもグレース・ケリーは特別。いつでも僕の目は彼女に釘付けにされてしまう。
しかし正統派美人だけが美人じゃない。パッツィ・ケンジットはどうだろう。実は僕は密かなファンだったりするのだが、お勧めは『Bitter Harvest』(邦題『ブロンドの標的』だったっけ)だ。勿論『リーサル・ウェポン2』の黒服の彼女も大好きだ。

『氷の微笑』『硝子の塔』でシャロン・ストーン鑑賞も良いが、それなら『トータル・リコール』も押さえておかないと。『シザース』は全然鑑賞向きではないので念のため。
キム・ベイシンガーの『ナイン・ハーフ』も悪くはないが、不健康そうでちょっと難がある。彼女の若いころの作品を一度見てみたい。
少々古くなるがボー・デレクは結構穴じゃ無いだろうか。ボレロを聞きながらでなきゃイヤなどと言う謎の女に扮した『テン』は言うまでも無いが、白塗りにされる『ターザン』も悪くないですぞ。
大柄な感じの美女が並んだところで、ダリル・ハンナの『スプラッシュ』はどうだろう。彼女は他にも冗談の積もりか『身長50フィートの女』と言う作品に出ている。本当にでかい。『ブレード・ランナー』での彼女は『スプラッシュ』で見せた明るいお色気から程遠くなって、なんか人間ばなれした役が増えたような気がする。

明るいお色気鑑賞映画と言えばフィービー・ケイツの『初体験リッジモンド・ハイ』が最高だろう。彼女が気前よく水着の前を開けてくれるのはこれしか無い。似たところでブルック・シールズの『青い珊瑚礁』も良い。シールズはその美しさから鑑賞映画が数多くあると思うが、やはりこの作品が一番と言っても良い。
そう言う露出は無いが『ロケッティア』はある意味ジェニファー・コネリー鑑賞映画と言えるだろう。しかしコネリー鑑賞には何と言ってもデビュー作『フェノミナ』だ。そう考えればホラー映画にも捨て難いものがあるはずだが、しかしホラー映画美女にはある種の傾向が感じられて僕は好きじゃない。そういう歴史をすっぱり断ち切った『スペース・バンパイア』のバンパイア役の美女は実に見とれるくらい美しかった。彼女はこの後まったく見ず、そのため名前すら覚えていないくらいだ。でもあの美しさは無くなりはしない。

ところでマデリーン・ストウはどうだろう。『不法侵入』も良いが、僕はデビュー作とも言える『張り込み』をお勧めしたい。確か彼女が21歳頃と若いころの作品だったように思うが、何と言うか華(はな)を感じる。

華というか可憐というか、僕は『ロミオとジュリエット』を見逃していたことをどれほど悔いたことか。ここでのオリビア・ハッセーは素晴らしい。(古い話で申し訳ない!)
ワンショットだけ露出もあったりして美女鑑賞映画としては非の打ち所が無い。

隙を衝いて『マーズ・アタック!』の謎の火星人美女リサ・マリーというのはどうだろう。この一作で彼女は僕のお気に入りになった。あの奇妙な歩き方と言ったら!

ことほど左様に美女鑑賞映画は限りが無い。それは即ち美女映画ファンの熱い想いを反映して、次から次へと泉のように湧いてくる。実に頼もしい限りだ。
今宵のあなたのお気に入り美女は、さて、どなた?

Report: Yutaka Yasuda (1997.08.15)


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