Cinema Review

ドラッグストア・カウボーイ

監督:ガス・バン・サント
出演:マット・ディロンケリー・リンチ、ジェームズ・レマー、ジェームズ・ル・グロス、ヘザー・グラハム、ウィリアム・S・バロウズ

'89のアメリカ映画。'71 オレゴン州ポートランド、マット・ディロン演ずるはドラッグ・ストア荒しを得意とする麻薬ジャンキー。強盗の手段は選ばず、気が向けばかたっぱしからドラッグ強盗を繰り返し、夜な夜な妻や友人と麻薬に溺れる日々。が、そんなハイで退廃的な生活は長くは続かず、些細なことから破局へと向かっていく。

ひとことで雰囲気を言うと’70年代麻薬映画版『俺たちに明日はない』。そもそも僕は’70アメリカのヒッピー文化や退廃的な雰囲気が好きで、麻薬映画のアナーキーさが何よりも好きで、かつ『俺たちに明日がない』のような破滅に向かってまっしぐらという筋が好きなので、まぁ僕がこの映画が好きなのはあたりまえといえばあたりまえなのだが、実はこの映画が気に入っているのはあまり上記の要素に左右されている訳ではない。

僕は『ドラッグストア・カウボーイ』はM・ディロンのためだけにある映画だと勝手に思っている。M・ディロンのプロモート映画だと思えるぐらいこの映画での彼は映えている。とにかくこの映画における他の語るべき要素をふっとばす程、M・ディロンがむちゃくちゃかっこよくてかつ良い演技をしているので、もう印象は「M・ディロンの映画」としか言いようがないのである。クールだよねぇ。

ともかく『ドラッグストア・カウボーイ』という単語は僕にほろ苦い過去を思い出させる。この頃僕は麻薬中毒者に本気で憧れていた。あぁ思い出すのも恥ずかしい過去…。若気の至りとはかくに痛ましいものか。でも、この頃のマット・ディロンになれるんだったら僕は魂を売ってでもなりたい。

Report: Akira Maruyama (1996.05.05)


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