Cinema Review

リトル・ロマンス

Also Known as:Little Romance

監督:ジョージ・ロイ・ヒル
出演:ダイアン・レイン、テロニアス・バーナード、ローレンス・オリビエ

フランスのパリを舞台に、映画好きのフランスの少年ダニエルとアメリカの少女ローレン(ダイアン・レイン)の恋を描いた作品。「夕方の鐘の鳴るときに橋の下を通るゴンドラの中でキスをすれば、その2人は永遠に愛し合う」という伝説を実現するために、2人はベニスを目指す。

この映画が封切られたのは1979年。当時は映画のビデオをレンタルして家で見るといった習慣もなく(そもそも、当時、わが家にはビデオはなかった)、当然、私はこの映画を映画館で見た。映画館で映画を見ることのメリットは、映画が終わるまでの約90分間、完全に自分がその映画の主人公になれることだと思う。現実とは切り離された空間で、この映画の主人公になりきった私は、パリに住む少年ダニエルに恋をして、永遠の愛のためにベニスに向かったのだった。もちろん映画館の中で・・・。

この映画では、ローレンス・オリビエ扮する初老の紳士ジュリアスが、とてもいい味を出している。さらに、英語しかわからないローレンの女友達と、フランス語しかわからないダニエルの男友達がちぐはぐな会話をしながらも仲良くなる所が笑える。また、タクシードライバーであるダニエルのお父さんが、ローレンの両親に「私が車で送りましょう」と言って車に乗せた時に、タクシーのメーターをたおす所なども笑える。このような細かいおもしろさは、同じ映画を二度、三度と見ているうちにだんだんとわかってくる点で、見る度に新しい発見があって楽しい。

同じ映画でも、見る時期によって、その時の自分の状況によって印象もかなりかわってくるものである。たとえば『ET』は初めて見た時には、それほど感動しなかったのだが、先日、たまたまテレビで見たら、いたく感動してしまった。だが、この映画に関しては、10代の時に見た印象とつい最近見た印象が、それほどかわらなかった。それに対して、「きっと今も10代の頃と同じ純粋な気持ちを持ち続けているからなんだわ」と、私は内心、とても喜んでいる。

P.S.
この映画のビデオは、だいたいのビデオショップにはあるようなので、恋愛映画好きな方、ダイアン・レインのファンの方は一度どうぞ。

Report: よしだともこ (1995.06.13)


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